WEBみんぽうより
http://www.tomamin.co.jp/20150929842
苫小牧工業高等専門学校(黒川一哉校長)専攻科の学生2人が、千歳科学技術大学でこのほど開かれた2015年度精密工学会北海道支部学術講演会で最高賞の「優秀プレゼンテーション賞」をそれぞれ受賞した。同校の学生2人が同時に同賞を獲得したのは初めて。2人は「さらに研究を深めていきたい」と意気込んでいる。
受賞したのは電子・生産システム工学専攻2年の池田季生さん(22)と、同専攻1年の荒木毅さん(21)。8月29日に開かれた同学術講演会には道内を中心とした大学や大学院、高専の学生、企業などから54件の発表があり、池田さん、荒木さんを含めて7人が同賞に輝いた。
池田さんの講演テーマは「人工心臓ハウジング内部の可視化および血栓の発生評価」。高感度カメラとレーザー、ナイロン粒を使って、人工心臓内部の血液の流れを解析し、血栓が発生する条件についてまとめた。
「実際に体に組み込まれた人工心臓と同じ条件下にすることにこだわった」と池田さん。実験器具を手作りし、正確な実験環境を整備。高感度カメラで心臓内を流れる粒子を撮影し、それらを細かくデータ化したという。研究をサポートした機械工学科の見藤歩教授は、「自分の力で研究する力がある。発表もよくできていた」と評価。池田さんは「自分のやってきたことが間違っていないと分かり、自信になった」と話した。
一方、荒木さんの講演テーマは「サポートベクターマシンを用いた、いびき音・非いびき音の識別」。さまざまな環境音と、睡眠時に発するいびきの音を識別するプログラムについて発表した。
昨年4月、医療機関の協力を得て研究をスタート。患者が睡眠時に発したいびき音のサンプルを用いて音の特徴を解析し、さまざまな環境音との識別精度を上げていった。
いびき音を判別することによって、「睡眠時無呼吸症候群の発見などに応用できる」と荒木さん。「今後、スマートフォン(多機能携帯電話)などのアプリになれば、多くの人を助けられる可能性がある」と力を込める。情報工学科の三上剛准教授は「本科生は残り1年半。今後に期待したい」とエールを送る。
講演は、ポスターに研究をまとめて発表するスタイルで、論理構成や分かりやすさ、質疑応答の的確さなどが総合的に評価された。学生のダブル受賞に同校の関係者も喜んでいる。